死生観の転換(ある患者さんとの体験を通して)その一

 私は、これまで数十人の患者さんのご臨終に立ち会ったが、その中のある患者さんとのエピソードを通して、私の「死生観」が変わった。

 

 医師は、肉体が「生」から「死」へ移る瞬間に立ち会うのが仕事の一つである。その患者さんとの体験を経験するまで、医師の仕事の中で、臨終に立ち会うのが、私にとって一番苦痛に満ちたことだった。できれば、やりたくないといつも思っていた!というのは、私の場合、一番最初に受け持った患者さんのなくなられ方が、余りにも衝撃的すぎて、今でも「臨終の顔」が忘れられないくらい、心の中にトラウマに近いものが残ったからである!!

 

 それからの私はどうしたかというと、臨終に立ち会いたくないから、とにかく患者を生かすように努力した!患者の病気の診断と治療には、並々ならね心血を注いだ。最初の研修病院では、病気の診断がつかない患者さんが紹介されてくると、何故か私が受け持ちになることが多かった!病院での仕事が終わって、夜中0時を回ると、いつも病院の図書館に籠って、病気の診断に結び付くようなものはないかと文献や医学雑誌を読み漁った!そのお陰もあって、珍しい病気がよく見つかった!診断がつけば、治療に繋げることが出来る。このようにして、私が受け持った患者さんたちは、元気になって退院される方が多かった!誇らしかった!この時期は、人の命を助け、活かしていくのが自分の使命のように感じられた。

 

 つづく・・・

2018年12月18日 17:10